基礎からの音楽講座(第5楽章)


この楽章を解説するに当たって最初に注意事項を……。
「音楽を始めようと思って挫折する人は、今回説明するところでもっとも多いようで す。挫折しないように頑張って下さい」

○臨時記号と調号

さて、みなさんは前回、シャープとフラットについてやったのを覚えてますか?
そうです、半音上げたり、下げたりするやつです。
今回はその使い方についてもう少し詳しく解説していくことにします。

みなさんはシャープやフラットが楽譜のどんなところに出没するか知っていますか?
音符の左側についたりするのは前回やったことなので知っていると思います。
シャープ・フラットはその様に音符の左側につくだけでなく、音部記号の右側にも付くことがあるんですね。
それで、何で2通りもつき方があるのかというのを説明していきたいと思います。

さてさて、まずはその2通りの付きかたの名称を覚えて頂きましょう。
まあ、名称なんてのは覚えなくてもやっていけますが……。
えっと、まず、音符の左側に付いてその音符を半音上げ下げするシャープとフラットを臨時記号といいます。
なぜ臨時記号というかは読み進めればなんとなくわかると思います。

で、次は、音部記号の右側につくシャープとフラットなんですが、これらは調号と呼ばれます。
まあ、名前だけ聞いてもどんな働きをするのか全くわからないでしょうから、次にそれらの働きについて述べていくことしましょう。

○先ずは「調号」から

そんなわけで、調号から説明していきたいと思います。
調号を英語で言うと「key-signature」というんです。
調号としてかかれるシャープやフラットは、普通のシャープ・フラットが1つの音だけに働くのに対し、音高に関係なく同音の音を全て支配します。
ようするに、ファの所にシャープが存在するとすると、曲の中にある全てのファにシャープがついているのと同じことになります。
ですから、調号としてファのところにシャープがあると、曲の中にある全てのファが、たとえそのファの左側にシャープが書かれていなくても、ファ♯となります。

とにかく、調号として、シャープやフラットがついているのならば、そのシャープやフラットがついている音階(ド・レ・ミ……)の音全てにシャープ・フラットが付くと思えば良いのです。
なお、調号というのは不規則にかかれるのではなく、ちゃんとした順番があるので記しておきます。

シャープの場合は、左から(1つ目から)順番に、ファ・ド・ソ・レ・ラ・ミ・シとついていきます。
全部で7個で、それ以上はつきません。
次に、フラットの場合ですが、こっちはシャープの逆、ようするに、シ・ミ・ラ・シ・ソ・ド・ファの順でついていきます。
この様に、調号には順番が存在するので、「ファ・ド・ソ」というシャープのつきかたはあっても、「ファ・ラ・シ」というシャープのつきかたはありえません。

だいたいおわかりいただけたでしょうか?
とにかく、音部記号の右側にシャープやフラットがあったら、そのついている音階の音全てにシャープやフラットをつけてやればいいのです。
調号のファ♯があったら、曲中のファが全てファ♯になるのです。

○今度は臨時記号についてだぁ!

さてさて、今度は臨時記号について書いていきましょう。
でも、調号に対して臨時記号なのですから大体の予想はついているんぢゃないかと思います。
臨時記号(accidental)というのは、ある音を一時的に半音上げ/下げする時に使うものです。
調号と一番違うところは一時的にというところです。
調合が曲全体に作用するのに対し、臨時記号はたった1小節の中でしか作用しません。
また、つける位置も、つけたい音の左隣と決まっています。
ですから楽譜では「♯♪」というように記されます。

臨時記号は1小節内のみ有効なわけですから、次の小節に移ったときにその効果は消えてしまいます。
次の小節でも同じ音にシャープなどを付けたい時は、もう一度付記しなければなりません。
又、小節内に同じ音が複数ある場合には、小節内で有効なのですから、最初の1つにだけ付けることになります。
ですから、♪をすべてファにするとしますと

という具合になります。
「|」は小節を区切る線だとかんがえて下さい。

また、調号はファの位置に♯があった場合、曲の中の全てのファがファ♯になると説明しましたが、臨時記号はそうとは限りません。
ファという音は、1つとは限りませんね?
五線譜の下の方にもファがありますし、上の方にもファがあります。
同じ位置(高さ)のファには、最初のファにシャープを付けることによって全てのファがファ♯になります。
しかし臨時記号の場合では、違う位置(高さ)のファはファ♯というようになりません。
ですから、同じファであっても、位置(高さ)が異なる時にはシャープを付けなければなりません。
ここらへんは慣れるまで非常に難しいと思いますので、じっくり時間をかけて理解して下さい。

さて、以上が臨時記号の説明です。
この臨時記号と調号のどちらも理解出来た時、初めてシャープ/フラットが克服出来たことになります。
がんばってシャープ/フラットを克服しましょう。

○なちゅらるぅ?

さて、シャープ/フラットが克服出来た人。
それらを克服したからといってまだまだ油断は禁物です。
何故ならば、ナチュラルというものが存在するからです。

シャープ/フラットで半音上げ/下げしたのはいいが元に戻すのはどーすんだべ?
という時に使うものです。
ナチュラルというのは、記号では とあらわされます。

○調号で記されたシャープ/フラットにナチュラル

これはシャープ/フラットでいうところの臨時記号と同じような作用をします。
ようするに、小節内でのみ有効ということです。
次の小節に進んだ時、また元に戻ってシャープ/フラットがついた状態になります。
また、小節内で有効な訳ですから、ナチュラルで戻したあと、シャープ/フラットが付いた状態に戻したいと思った時は、シャープ/フラットを表記する必要があります。

○臨時記号のシャープ/フラットにナチュラル

臨時記号によって半音上げ/下げられた音を元に戻す時に使います。
臨時記号の特性をよく理解した貴方ならばわかると思いますが、ナチュラルで元に戻す意味があるのは、シャープ/フラットが付いている小節内のみです。
次の小節に進むと勝手に効果が消える訳ですから、あたりまえですよね?

○後書き

そんな訳で、音楽をやる時に、調号・臨時記号のところで挫折する人が多いという意味がなんとなくわかりましたか?
慣れてしまえば簡単。
でも初めて本格的にやろうとしている人にとってみれば大きな壁なのです。

○ホームページ版あとがき

最後までお読みいただきまして、ありがとうございます。
この文章自体は私が高校1年生頃に作ったものですので、だいぶ記述などがおかしかったりして、読み辛かったと思います。
すいません。

さて、この第5楽章で、一応基礎講座は終わりです。
今後、あたらに書き下ろすこともないと思います。
どうも、ありがとうございました。


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